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認知行動療法カウンセリングセンター広島店の岡村です。2020年6月1日よりパワーハラスメント防止法が試行され、中小企業を含む企業においてハラスメント対策が義務化されました。2021年に行われた厚生労働省の調査によると、勤務先でパワハラを受けた人の割合は5人に1人いることが明らかになりました。ハラスメントにはさまざまな種類があり法的に問題があるハラスメントと、法的には問題ないがハラスメントだと感じる人がいるグレーゾーンのハラスメントがあります。2022年にパーソル総合研究所が行った調査によるとハラスメントを原因とする離職者は年間約87万人であることが明らかになりました。2022年の年間離職者数は約766万人のため、約10人に1人がハラスメントを理由に離職していることになります。離職者が増えることで職場における個々の負担が増え、それにより人間関係がさらにぎくしゃくして新たなハラスメントを生じさせることもあります。

今回は離職などさまざまな要因にもなっているハラスメント対策とその難しさについてまとめていきたいと思います。

1.ハラスメントは個人の問題か

どのような職場においても残念ながらハラスメントが起こりえます。ハラスメントを行う人とはどのような人なのでしょうか?いつもイライラしていて攻撃的で自己中心的な人でしょうか?実はそうとも限りません。ハラスメントをする人の多くは、自身の振る舞いがハラスメントだと自覚なく行っています。よかれと思い伝えた言葉が相手にとってはハラスメントとして受け止められてしまうのです。つまり私を含む誰もがハラスメントを行う人になりえるのです。それは、言葉の受け止め方が人によって異なるためです。私が専門とする認知行動療法では同じ出来事に遭遇しても人により考え方や行動が異なると理解しています。同じ会話をしていてもそれをどう考え受け止めるかは人によって異なるのです。しかし、どうしても主観で考えてしまうためズレが生じてしまい結果としてハラスメントになってしまうのです。どう受け止めるかは相手の責任なのでしったこっちゃないという意見もあるかもしれませんが、誰しもがそう考えてしまうとハラスメントはいつまでたってもなくなることはありません。では、ハラスメントを行う人がいなくなればすべて解決となるでしょうか?ハラスメントは個人要因だけでなく文化や伝統など環境要因も大きく影響していると言われています。例えば、いわゆる上下関係に厳しい体育会系の部活を想像してみてください。ある厳しい主将が卒業したとしても次の主将が指導方法を引き継いでしまう場合があります。このように人が変わっても環境の影響によりハラスメントになりえるコミュニケーションが連鎖する場合があるのです。以上のことより、ハラスメントは個人だけでなく環境や文化にも焦点をあてて対策していく必要があります。ハラスメントが発生しやすくなる環境要因としては、厳しいノルマや競い合い文化など成果の過度な要求、トップダウンの組織文化などがあげられます。

2.ハラスメントが職場の社員に与える影響

ハラスメントは職場内にさまざまな影響を与えます。離職率の増加、メンタルヘルスへの悪影響、ハラスメント当事者だけでなくそれを見聞きした人が離職したりメンタルヘルスに不調をきたす恐れなどがあります。また、ハラスメント環境に適応した社員が残ることで厳しい環境であることが当たり前になってしまうこともあります。

3.ハラスメント対策

ハラスメント対策の一例をここにまとめてみます。職場環境についての対策としては、誰もが安心して意見ができるような心理的安全性の高い職場環境作り、さまざまな評価基準を設けるなどがあげられます。個人としてできることは、それぞれの立場や都合により物事の見え方は異なることを理解し相手の立場にとって物事を検討できるようなトレーニングを行い、言葉遣いやかかわり方を柔軟に調整することが考えられます。互いに尊重し合いサポートしあえる関係性を目指していきます。

4.認知行動療法カウンセリングセンター

認知行動療法カウンセリングカウンセリングセンターでは組織におけるハラスメント対策や離職防止対策などのメンタルヘルスケアサポートも行っています。まずは事前無料相談をご活用ください。

認知行動療法カウンセリングセンター広島店

https://hiroshima.cbt-mental.co.jp/

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岡村優希

株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役

認知行動療法カウンセリングセンター代表

公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士

個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。

さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。

◆執筆書籍

「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」

金剛出版

「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房

◆テレビ出演

読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日

「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演

◆雑誌掲載

「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号

◆近年の講演実績

2024年2月21日

広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師

2023年2月9日

NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師

2022年7月6日

筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師

その他、学会発表多数

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