2024年10月27日
- 認知行動療法
抑うつ症状改善のためのカウンセリング(認知行動療法)
こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター広島店の岡村です。今回は「ドラクエに学ぶ抑うつとその対処」というテーマでお話しします。抑うつ感や気分の落ち込みに悩んでいる方も多く、うつ病までとはいかなくとも、何をしても気持ちが上がらない、意欲が湧かないといった状態に苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。そこで、皆さんにも馴染み深い「ドラクエ」を例に、抑うつ状態の辛さと対処法についてお伝えします。
カウンセリングで見られる抑うつの実態
抑うつについてこのテーマを選んだ理由の一つは、日々のカウンセリング業務で抑うつに悩む方々と向き合うことが多いからです。さらに、私自身も軽度の抑うつ感と向き合っており、その経験からこのテーマを取り上げることにしました。一般的に「抑うつ」というと明確な原因があるように思われがちですが、実際には原因がはっきりしないことも多く、自分でもどうしてこんなに気分が落ち込むのか理解できないケースが少なくありません。
抑うつの辛さを「ドラクエ」で表現すると
ドラクエのようなRPGを例にすると、抑うつは「徹夜明けのような体力消耗が何日も続く」感覚に似ています。何をしても気力が回復せず、やるべきことに手をつけるのも難しい。このような感覚を持ったことがある方も多いのではないでしょうか。ドラクエの中で強敵に連続で攻撃を受けて回復が追いつかない感覚が日常に続くと、抑うつ感はさらに重くなってしまいます。
さらに、抑うつ状態では、普段なら気にしないような些細な出来事が「会心の一撃」のように大きなダメージとなり、深く傷ついてしまうこともあります。その影響で人との接触やSNSでのコミュニケーションから距離を置きたくなる方も多くいます。こうした状態においては、外部からの些細な「攻撃」が心の中に「毒」を溜めてしまい、さらに気分が落ち込みやすくなります。
抑うつ状態での対処法:日常生活に取り入れたい工夫
抑うつ感から抜け出すには、少しずつの変化を積み重ねることが大切です。例えば、気分転換に映画を観る、散歩に出るなど、一見シンプルな行動が抑うつ状態には大きな効果を持つことがあります。また、認知行動療法でお勧めしている「リフレーミング」も日常に取り入れると、少しずつ気持ちが軽くなるかもしれません。リフレーミングとは、考え方を少し変えてみる手法です。例えば、「今日は一歩進めた」と小さな達成を感じることで気持ちが楽になる場合があります。
また、何かを達成したり楽しみを感じたりすることで少しずつ心の中の「毒」を抜き、日常の苦しさを減らしていきます。とはいえ、抑うつ状態では何かを続けることが難しいため、最初はほんの少しの変化から始めてみることをおすすめします。
抑うつと戦うことの難しさ:仕事への影響
抑うつ状態は仕事にも大きく影響します。特に判断力や冷静さが求められる職業では、抑うつの状態では普段なら冷静に判断できることが難しくなり、マイナス思考にとらわれがちです。ドラクエの例で言えば、「ルカニ」のデバフがかかっているように防御力が下がり、些細なことでも耐えられなくなってしまうような状態です。
こうした時期は現状を冷静に判断することが難しく、「このままでは全てがうまくいかなくなるのでは」といった不安や悲観的な思考に囚われやすくなります。そのため、重要な決断をするのが難しくなり、判断に時間がかかることが増えます。このような状況に自分を追い込まないためにも、まずは自分を責めず、少しずつ「できること」に目を向けていきましょう。
日常生活で使える抑うつへの対処法
抑うつ感と戦うには、無理をせずできる範囲で対策を考えることが大切です。まずは日常的な小さな目標を設定し、それを少しずつクリアすることで自信をつけていくのが効果的です。抑うつ状態では自信を失いやすいため、小さな成功体験を積むことで心の負担が少しずつ和らいでいきます。また、普段と違うルートで散歩に出たり、食事の時間に新しいメニューに挑戦するなど、小さな変化を加えることで気分の改善を図ることができます。
認知行動療法カウンセリングセンター広島店では、こうした抑うつに関するご相談やカウンセリングを通して、皆さんが少しずつ元気を取り戻せるようサポートを行っています。認知行動療法では、自分の思考や行動を少しずつ改善しながら、気持ちのリフレッシュを目指していく方法を提案しています。抑うつ感に悩む方はぜひ一度ご相談ください。
認知行動療法カウンセリングセンター広島店
https://hiroshima.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
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