2024年11月02日
- 認知行動療法
盗撮の再犯防止のためのカウンセリング(認知行動療法)
こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター広島店の岡村です。本日は「盗撮の再犯防止を目的としたカウンセリング」についてお話しします。当カウンセリングセンターには、盗撮に関する問題でお悩みの方がいらっしゃることもあります。こうした問題に対応するためには、再犯防止に向けた専門的なサポートが欠かせません。今回は、盗撮の再犯防止に有効なアプローチであるリラプス・プリベンションモデル(Relapse Prevention Model)を取り入れ、どのようにカウンセリングを進めていくかについて解説します。
1. 盗撮行為の心理的要因と再犯リスク
まず、盗撮行為の背景には、さまざまな心理的要因が関与しています。特に以下の要因が指摘されています。
- 盗撮に影響する認知パターン
盗撮加害者は、盗撮行動に関する誤った認知を持っていることがあります。たとえば、「被害者が黙認している」「自分は特別だから許される」といった考え方です。こうした認知パターンは再犯のリスクを高める要因となります。 - 衝動のコントロール困難
盗撮の衝動が強く、自分の意思で抑えられないケースも少なくありません。
カウンセリングでは、これらの要因に焦点を当て、根本的な問題にアプローチすることで再犯リスクを軽減することを目指します。再犯防止に効果的なアプローチの一つとして「リラプス・プリベンションモデル」が挙げられます。
2. リラプス・プリベンションモデルとは
リラプス・プリベンション(Relapse Prevention)は依存症の再発防止に活用されるモデルで、行動の再発(リラプス)を防ぐことを目的としています。このモデルでは、再発を防ぐために「ハイリスク状況」を特定し、効果的な対処法を学ぶことで再発を回避します。
盗撮行為の再発においても、このモデルが効果を発揮します。具体的には、再犯リスクを高める「引き金」となる状況を特定し、それに対する適切な思考・行動の切り替え方法を学びます。このアプローチは、単に衝動を抑制するだけでなく、本人が感じている葛藤や不安を根本から解消するためにも役立ちます。
3. 盗撮再犯防止におけるリラプス・プリベンションモデルの活用法
リラプス・プリベンションモデルを用いたカウンセリングでは、次のようなステップを踏んで進めていきます。
1. ハイリスク状況の特定
カウンセリングの初期段階で、盗撮の衝動が発生しやすいハイリスクな状況を特定します。たとえば、「強いストレスを感じたとき」「飲酒後」「特定の場所や時間帯」などです。これにより、再犯リスクが高まる状況を予測し、事前に対策を練ることが可能になります。
2. コーピングスキルの習得
ハイリスク状況に直面した際に使えるコーピングスキルを学びます。代表的なスキルとしては以下のものがあります。
- リラクゼーション技法
呼吸法や筋弛緩法など、緊張を緩和する方法を習得します。これにより、衝動的な行動を抑えやすくします。 - 代替行動の実施
ハイリスクな状況に直面したとき、盗撮行為に代わる健全な行動を考えます。たとえば、運動をする、友人や家族に連絡を取るなどが挙げられます。 - 自動思考の確認と修正
衝動が生じた際に浮かぶ考えをチェックし、その現実性を再評価して修正します。たとえば、「これくらいなら大丈夫」という思考を理性的に再考し、行動をコントロールする方法を学びます。
3. 自己評価とフィードバック
カウンセリングでは、毎回セッションの終わりに自分の行動を振り返り、どの程度ハイリスク状況を管理できたかを自己評価します。また、カウンセラーからのフィードバックを受けて、さらなる改善に努めます。
4. 日常生活での維持戦略の確立
カウンセリングの終盤では、学んだスキルを日常生活に定着させるための戦略を立てます。たとえば、「週に一度の自己チェック」や「特定の状況での行動計画」を設定し、自分の行動を管理する力を高めます。これにより、カウンセリング終了後も再犯防止に継続的に取り組むことが可能となります。
4. 認知行動療法のアプローチ
リラプス・プリベンションモデルと併せて、認知行動療法(CBT)も再犯防止に効果的です。CBTでは、問題行動に関連する思考や感情を分析し、それをコントロールするスキルを習得します。
盗撮に関する衝動が抑えられない場合、これを「自動思考」として認識し、その思考を修正する訓練を行います。また、盗撮に至る一連の行動を段階的に分解し、どの時点で適切な行動に切り替えられるかを探っていきます。これにより、衝動を制御し、再犯リスクを効果的に軽減できます。
5. 再犯防止に向けたカウンセリングの重要性
盗撮行為を一度でも行ってしまうと、社会的な信頼を失い、自己嫌悪や罪悪感で精神的な負担が大きくなります。再犯防止には、自分自身を客観的に見つめ、行動パターンを理解することが大切です。
カウンセリングを通じて、引き金となる状況を認識し、効果的な対処法を身につけることで、自己コントロールが可能になります。さらに、自分自身の力で再犯防止の取り組みを継続できることが、長期的な改善には欠かせません。
6. 認知行動療法カウンセリングセンター広島店でのサポート
認知行動療法カウンセリングセンター広島店では、盗撮の再犯防止に向けた専門的なサポートを提供しています。個々の状況に合わせて、リラプス・プリベンションモデルや認知行動療法を組み合わせたカウンセリングを行い、再犯防止に向けた具体的なプランを提案します。盗撮問題でお悩みの方、ご家族の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
認知行動療法カウンセリングセンター広島店
https://hiroshima.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
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