MENU

こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター広島店代表の岡村です。本日は、性犯罪再発防止をテーマに、認知行動療法(CBT)の効果とアプローチについてお話しします。性犯罪は被害者に深刻な影響を及ぼすだけでなく、再発リスクも高いため、専門的な支援が求められます。認知行動療法は、その再発防止において有効な手法とされており、加害者が自身の行動をコントロールし、再発を防ぐ力を育てるための具体的なアプローチを提供します。

性犯罪再発防止の課題

性犯罪の加害者は、しばしば衝動的に行動を繰り返す傾向があります。その背景には、以下のような要因が絡んでいることが多いです。

これらの要因を根本から見直し、適切に対応するために、認知行動療法は重要な役割を果たします。

性犯罪再発防止における認知行動療法(CBT)のアプローチ

認知行動療法では、加害者の行動や思考のパターンを認識し、それを修正することで、再発のリスクを大幅に減少させることができます。以下に、具体的なアプローチをご紹介します。

1. 衝動コントロールのスキル習得

性犯罪再発防止には、衝動のコントロールが不可欠です。CBTでは、加害者が自身の衝動や感情を適切に管理するスキルを習得します。具体的には、リラクゼーション法や深呼吸、マインドフルネスなどを用いて、衝動が生じた際に冷静に対処できる方法を学びます。このスキルは、衝動に駆られた際に自制心を働かせ、問題行動を回避する力を強化します。

2. 曝露反応妨害法(ERP)

曝露反応妨害法(ERP)は、性犯罪再発防止にも効果的です。ERPでは、加害者が性衝動を感じる状況に意図的に直面し、その際に不適切な行動を取らずに対処する練習を行います。これにより、衝動に対する耐性が徐々に強化され、衝動を感じたとしても行動に移さずに耐える力を身につけます。

3. 感情の認識と管理

性犯罪に関わる行動の背景には、しばしば強い感情が存在します。怒り、不安、孤独感などの感情が引き金となることもあるため、これらの感情を認識し、管理する方法を学ぶことが重要です。認知行動療法では、感情と行動の関連性を理解し、感情が高まった際に適切な対処を行うための具体的なスキルを学習します。

4. リラプスプリベンション(再発予防)

性犯罪再発防止のためには、再発リスクの高い状況やトリガーを事前に把握し、対処法を準備しておくことが重要です。リラプスプリベンションでは、過去の行動パターンを振り返り、再発しやすい状況を特定します。次に、再発の兆候が見られた場合にどのように対応すべきか、具体的な対策を立てます。こうした計画を持つことで、危機的な状況に直面しても冷静に対処でき、再発リスクを最小限に抑えることができます。

社会と家族のサポート

性犯罪再発防止には、社会的なサポートも重要な要素となります。家族や友人、地域社会が適切に関与し、加害者が孤立しないよう支援することが、再発防止に寄与します。また、加害者が自分の行動を修正し、社会に適応していく過程で、専門家のサポートが必要です。

まとめ

性犯罪は深刻な問題ですが、認知行動療法(CBT)を通じて再発を防止することが可能です。認知再構成や衝動コントロールのスキル習得、ERPなどのアプローチを活用し、加害者が再び犯罪行為に及ぶことを防ぐ力を養います。認知行動療法カウンセリングセンターでは、性犯罪再発防止に向けた認知行動療法プログラムを提供しています。再発リスクに悩んでいる方、またはご家族の方は、ぜひ一度ご相談ください。

認知行動療法カウンセリングセンター広島店

https://hiroshima.cbt-mental.co.jp/

——筆者情報——

岡村優希

株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役

認知行動療法カウンセリングセンター代表

公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士

個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。

さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。

◆執筆書籍

「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版

「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房

◆テレビ出演

読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日

「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演

◆雑誌掲載

「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号

◆近年の講演実績

2024年2月21日

広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師

2023年2月9日

NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師

2022年7月6日

筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師

その他、学会発表多数

一覧に戻る