2025年12月13日
- 認知行動療法
先延ばしがやめられない理由と改善のコツ/認知行動療法カウンセリングセンター広島店
こんにちは。
認知行動療法カウンセリングセンター広島店です。
「やらなきゃいけないことがあるのに、気づくと別のことをしている」
「今日こそ取りかかろうと思っても、時間だけ過ぎてしまう」
こうした先延ばしは、誰にでも起きるごく自然な反応です。
そしてこれは、意志の問題でも、気合いの問題でもありません。
行動は、気持ちではなく環境と構造に大きく左右されます。
環境の摩擦が少ないと、人は自然に行動しやすくなります。
摩擦が積み重なっていると、どれだけやる気があっても行動は止まりやすくなります。
本記事では、認知行動療法の視点を踏まえながら、
先延ばしが生まれる仕組みと、
行動が自然に流れ込みやすくなる環境調整の考え方をまとめていきます。
■ 1. 先延ばしは「性格」ではなく、構造の問題で起きる
自分は怠けているだけでは?
やる気がないからできないのでは?
そう感じる方は少なくありません。
しかし実際には、先延ばしは性格の問題ではなく、
行動を取り巻く条件(環境)が、自然と後回しを生む状態になっていることがほとんどです。
人は本来、
- 手間が多い
- 不確実
- 面倒に感じる
- 取りかかり方が曖昧
という行動を後回しにするようにできている生き物です。
だからこそ、行動が起きるかどうかは、
本人の努力ではなく、行動の周囲にある摩擦(フリクション)の量で決まる
と言っても過言ではありません。
■ 2. 行動を止めてしまう4つの摩擦(フリクション)
先延ばしを理解するうえで重要な視点が、
行動を妨げる見えない抵抗=摩擦(フリクション)です。
摩擦は次のような形で発生します。
● ① 行動までの準備が多い
- 道具を探す必要がある
- 作業スペースを整える必要がある
- 複数のステップを踏まなければ始まらない
準備の手間が行動の重さになります。
● ② 次に何をすればいいかが不明確
入口が曖昧な行動ほど、着手は難しくなります。
● ③ 結果が読めない(不確実性)
うまくできるか分からない行動は、脳が負担と判断し、後回しにしやすくなります。
● ④ 完璧にやろうとする気持ちが強い
「きちんとやらなければ」という想いは素敵ですが、
その分だけ行動の条件が厳しくなり、着手が遠のきます。
■ 3. 行動は「意思」で起きるのではなく、整った環境で自然に起きる
多くの人は、
「やる気」や「気持ちの切り替え」を重視しがちです。
しかし、実際の行動研究では、
行動の9割は環境で決まる
意思は行動の後からついてくる
と言われています。
認知行動療法でも、行動を変える際は
気持ちではなく環境や条件から整えることが基本です。
つまり、重要なのは
「どう始めるか」を頑張ることではなく、
始まってしまうような環境をつくること。
■ 4. 今日からできる行動が自然に始まる環境調整
ここでは、先延ばしを減らすための「環境のつくり方」をご紹介します。
◆ ① 行動が流れ込みやすい環境にしておく
人は、準備の手間がゼロに近いと、自然に行動へ移りやすくなります。
例:
- 必要な物が手の届く場所に配置されている
- 作業に使うスペースが常に整っている
- よく使う道具が決まった場所に集約されている
- 見た瞬間に次に何をすればいいかが分かるレイアウトになっている
これらは、行動の前工程にある摩擦を取り除く作業です。
摩擦が少ない環境では、
行動は「やろう」と思わなくても自然に始まることがあります。
◆ ② 行動の流れを遮らない動線をつくる
行動が続かない背景には、動線の途中にある段差があります。
例:
- 机の上に別の作業物が置かれている
- 必要なファイルが散らばっている
- 行動の途中で別の行為を挟まないといけない
こうした動線の段差をなくすことで、行動は継続しやすくなります。
◆ ③ 行動を促す視覚のきっかけを置く
人は、見える情報に大きく影響を受けます。
例:
- やりたい作業道具を視界に置く
- 明日使う資料をカバンの入口に入れておく
- 完了前の仕事フォルダをデスクトップに置く
視覚的な刺激は「次の一手を思い出す」助けになり、行動への自然なつながりを生みます。
◆ ④ 他者の存在を構造の一部にする
行動は、外部の関わりがあるほど進みやすくなります。
例:
- 小さな期限を設ける
- 進捗を共有する相手をつくる
- 完成したら見せる先を決めておく
これは、認知行動療法でも用いられるアプローチで、
自分だけで抱え込まない仕組みを作ることが行動を安定させます。
■ Q&A
Q1. 先延ばしは性格の問題ですか?
いいえ、性格ではなく 行動を取り巻く環境の問題 であることが多いです。
環境を整えると、性格を変えなくても行動は自然に進みやすくなります。
Q2. やる気が出ません。やる気が出れば動けますか?
やる気は非常に不安定なため、「やる気を待つ」という方法は長続きしません。
行動が始まりやすい環境をつくることで、気持ちに関係なく動ける場面が増えます。
Q3. カウンセリングではどんなサポートがありますか?
- 行動が止まりやすい場面の整理
- 摩擦(フリクション)の見える化
- 行動しやすい環境や条件づくり
- 認知行動療法を用いた行動プランの調整
など、生活全体が行動しやすい構造になるよう丁寧にサポートします。
■ 広島店のご案内
認知行動療法カウンセリングセンター広島店
〒730-0853
広島市中区堺町2丁目4-16 堺町Yビル402号室
(広島電鉄 小網町駅 徒歩1分/土橋駅 徒歩3分)
営業時間:10:00〜20:00(完全予約制)
WEBサイト
https://hiroshima.cbt-mental.co.jp/
LINE(相談・ご予約)
https://lin.ee/26sKHRK8
お申込フォーム
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSelm3nMBwOyvwnkhrkihe-APBzNTll2NL4fsPB6b6hHMzC8GA/viewform
■ 最後に
先延ばしは、頑張りが足りないから起きるわけではありません。
行動は「意思」よりも「環境」に影響されるため、
周囲の条件を整えることで、自然と動きやすくなる場面が増えます。
あなた自身を変えようとする必要はありません。
変えるべきは行動を支える環境のほうです。
日常の中にある摩擦を一つずつ取り除くことで、
行動が静かに、しかし着実に前へ進み始めます。