2024年10月14日
- 認知行動療法
パニック障害(パニック症)改善のためのカウンセリング(認知行動療法)

こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター広島店の岡村です。今回は、パニック障害やパニック症について、その改善法をわかりやすく解説したいと思います。近年では「パニック症」という言葉が使われるようになりましたが、まだ「パニック障害」で検索される方も多いことから、今回は分かりやすい様にタイトルに両方盛り込んでおります。
パニック症とは?
まず、パニック症とは、予期せず繰り返し起こるパニック発作を特徴とする症状です。パニック発作は、突然始まり、急速に恐怖や不安が高まります。そして多くの場合、発作は10分以内にピークに達し、その後徐々に落ち着いていきます。発作中には、以下のような身体症状が現れることが一般的です。
- 動悸
- 息切れ
- めまい
- 発汗
- 手足の震え
- 吐き気
これらの症状は個々に異なり、たとえばある人は動悸が主症状で、他の人はめまいや震えが強く感じるかもしれません。発作は突然やってくるため、日常生活の中でも非常に恐怖を感じることが多く、特に電車や混雑した場所での発作が典型的です。
パニック症に伴う不安と回避行動
一度パニック発作を経験すると、その後も1ヶ月以上にわたり、不安や恐怖が続くことがあります。この段階で多くの人が、次の発作が起こることへの強い不安(予期不安)を抱くようになり、生活の中でさまざまな行動を避けるようになります。
例えば、過去にパニック発作を経験した電車に乗らないようにしたり、人混みを避けたりするようになります。これを回避行動と呼び、最初は安心感を得られるかもしれませんが、長期的には発作への恐怖が増し、生活範囲がどんどん狭まってしまいます。さらには、「発作が起こった時に備えて薬を持ち歩く」「水を持ち歩く」などの安全確保行動もよく見られます。これも一時的には安心感をもたらしますが、結果的に不安を増幅させ、問題が深刻化することが多いです。
認知行動療法(CBT)での改善方法
こうしたパニック症の改善において、**認知行動療法(CBT)**は非常に有効なアプローチの一つです。CBTは、現在の問題に焦点を当て、その問題がどのようにして生活に影響を与えているのかを分析し、パターンを把握して改善していく方法です。具体的には、次のようなステップで進めていきます。
- パニック発作のパターンを把握する
まず、どのような状況でパニック発作が起こり、どんな身体反応が現れ、どのような予期不安が浮かんでくるかを整理します。たとえば、混雑したスーパーでの発作の経験を振り返り、「動悸が激しくなった」「息苦しさを感じた」「このまま気を失ってしまうかもしれない」といった考えが浮かんだことを確認します。 - 予期不安と安全確保行動の確認
次に、予期不安に対してどのような対処行動や安全確保行動を取っているのかを確認します。たとえば、「電車に乗ることを避ける」「必ず水を持ち歩く」といった行動です。これを把握することで、どのような行動が不安を強化しているのかを理解します。 - 行動パターンの変更
こうして把握したパターンをもとに、行動や思考を少しずつ変えていくことが、パニック症の改善につながります。たとえば、電車に乗ることを避けていた人が、少しずつ短い距離の電車に乗る練習を始め、成功体験を積むことで、徐々に不安に対する耐性を強化していきます。この過程を繰り返すことで、次第にパニック発作の頻度や強度が減少します。
安全確保行動のメリットとデメリット
安全確保行動は、短期的には安心感をもたらしますが、長期的には不安や予期不安を強化するリスクがあります。CBTでは、こうした行動が実際に必要かどうかを検証し、少しずつ実際の状況に向き合うことを目指します。たとえば、「電車に乗るとき、発作が起きるだろうか?」という疑問に対して、実際に乗車してみて、その結果を確認することで、予期不安を和らげることができます。
まとめ
認知行動療法を通じて、自分自身のパニック症状のパターンを理解し、少しずつ改善していくことで、日常生活の中で感じる恐怖や不安が軽減されます。生活の質が向上し、パニック発作の頻度や強度も減少していくでしょう。
もし、パニック症状や予期不安に悩んでいる方がいらっしゃれば、ぜひ当カウンセリングセンターにご相談ください。専門のカウンセラーが、あなたの症状に寄り添いながら、改善のサポートをさせていただきます。
認知行動療法カウンセリングセンター広島店
https://hiroshima.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
