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「いつも通り」が崩れていくとき、そっと気づく視点を

こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター広島店です。
本日は「嘔吐恐怖(エメトフォビア)」に悩む方を支えるご家族に向けて、“気づき”を中心とした関わり方の視点をご紹介します。

嘔吐恐怖という言葉はあまり一般的ではないかもしれませんが、
「吐くことへの強い不安」「体調への敏感さ」「日常生活の制限」など、目立たない苦しさを伴う状態です。

私たちは、嘔吐恐怖を「激しい恐怖」や「回避行動」で語るだけでなく、
その背景にある静かな変化や揺らぎに注目しています。

本人が言葉にできない不安や不快感に、家族としてどう気づき、どう関わるか──
その繊細な視点が、回復への道すじに繋がることもあります。


嘔吐恐怖は「突然」ではなく、「少しずつ」始まっている

多くの場合、嘔吐恐怖はある日突然始まるわけではありません。
不安の芽は、少しずつ、静かに日常に入り込んできます。

こうした変化の多くは、本人自身も“怖い”と認識する前から始まっています。
だからこそ、「日常の揺らぎ」に気づけるご家族の存在が、とても大きな意味を持ちます。


1. 「変化」を“問いただす”のではなく、“一緒に確認する”

変化に気づいたとき、つい「どうしたの?」「なぜそうなったの?」と問いかけたくなるかもしれません。

しかし、本人も理由が分からないまま不安を抱えていることが少なくありません。

たとえば、

「最近、ご飯の量が少ないね。何かあった?」

と聞くよりも、

「最近はこれくらいでちょうどいい感じかな?」

と本人の感覚に寄り添った声かけをすることで、
“話してもいいかもしれない”という安心感が生まれます。

変化に気づく力は、疑いの目ではなく、関心のまなざしから育まれるものです。


2. 「行動より“存在”が力になるときもある」

「支えたい」「何かしてあげたい」という気持ちは、とても大切です。
ですが、嘔吐恐怖においては、“ただそばにいる”ことが、もっとも大きな支えになることもあります。

たとえば──

これらは一見「何もしていない」ように思えるかもしれませんが、
「安全な人がそばにいる」という感覚は、回復の大きな土台となります。

焦らず、責めず、そっとそばにいる時間こそが、本人の心身を整える時間となるのです。


3. 体調の話題を“話題にしすぎない”工夫

嘔吐恐怖を抱える方は、体調に対して非常に敏感です。
そのため、体調に関する会話そのものが不安を強めてしまうことがあります。

たとえば、「今日は調子どう?」という日常のひと言が、
「今日は調子悪かったらどうしよう」と意識を集中させてしまうことも。

大切なのは、体調について話せる安心感は残しつつ、“体調を中心にした会話ばかり”にならないこと

このように「健康チェックではない日常会話」が、結果として安心のベースをつくっていきます。


4. ご家族自身の「しんどさ」に気づくことも、大切な支援です

ご本人を支えたい気持ちと同時に、

といった迷いを抱えるご家族も少なくありません。

でも、その迷いこそが、「大切にしたい」という気持ちの証です。

支援に正解がないからこそ、悩んだり迷ったりするのは当然のこと。
だからこそ、ご家族自身も支援される立場になっていいのです。

私たちは、「本人の代わりに相談してもいいんでしょうか?」というお問い合わせをよくいただきます。
もちろん、ご家族だけのご相談も歓迎しています。

家族がしんどくなってしまうと、支援は続きません。
ひとりで抱えず、ぜひご相談ください。


よくあるご相談(Q&A)

Q1. どのタイミングで相談したらいいのでしょうか?
→ ご本人が「困っている」と言っていなくても、家族が違和感を持った時点でご相談可能です。
初回はご家族のみの来室でも問題ありません。

Q2. 家族が相談することは“本人を勝手に診断している”ようで不安です。
→ 私たちは診断や病名を決める場所ではありません。
「日常生活で困っていること」や「ご家族としての悩み」を一緒に整理するお手伝いをしています。

Q3. 広島以外に住んでいますが、オンライン相談もできますか?
→ はい。全国対応のオンラインカウンセリングも行っております。顔出しなしでのご相談も可能です。


最後に

嘔吐恐怖というテーマは、言葉にしづらく、周囲からも気づかれにくい困りごとです。
だからこそ、家族だからこそ感じ取れる“ちょっとした違和感”が、貴重な手がかりになります。

私たち認知行動療法カウンセリングセンター広島店は、
「誰かの不安に、そっと気づき寄り添う存在」を応援したいと考えています。

不安や迷いを抱えたままのご家族こそ、安心してご相談ください。


認知行動療法カウンセリングセンター広島店

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