2025年10月17日
- 認知行動療法
広島でできる「心の整え方」― ストレス社会で“動じない自分”を取り戻す方法
近年、「整える」という言葉を耳にする機会が増えました。
身体を整える、生活を整える、空間を整える──。
けれども「心を整える」とは、具体的にどういうことでしょうか。
身体なら「風邪をひきにくくなる」「体力がつく」といった分かりやすい効果があります。
一方で、心の場合は見えづらく、「整える」と言われてもピンとこない方が多いかもしれません。
しかし現代社会では、仕事・人間関係・情報過多などによって心が疲れやすい時代です。
この「心を整える力」こそが、ストレス社会を生き抜くうえでの大切な土台になります。
本記事では、認知行動療法(CBT)の視点から、
「心を整える」とは何を意味し、どんな具体的な利点があるのかを分かりやすく解説します。
1. 「心を整える」とはどういう状態か
「整える」とは、乱れているものを整序し、自然なバランスを取り戻すこと。
つまり、「心を整える」とは──
感情や思考に飲み込まれず、現実をありのままに見て、冷静に選択できる状態
のことを指します。
認知行動療法では、この状態を「認知的柔軟性(Cognitive Flexibility)」と呼びます。
例えば、トラブルが起きた時に「もうダメだ」と決めつけず、
「できることはまだある」「これは一時的なことかもしれない」と考えられる状態です。
この柔軟さがあると、感情や行動を自分でコントロールできるようになります。
逆に、心が乱れている時は、思考が狭くなり、極端な選択をしてしまいがちです。
2. 心を整えることで得られる5つの利点
では、心を整えることでどんな変化が起こるのでしょうか。
認知行動療法の理論や臨床データを踏まえ、5つの具体的な利点をご紹介します。
① 認知・判断の精度が上がる
心が整っていると、出来事を“そのまま”受け止めることができます。
感情に引きずられず、「事実」と「解釈」を分けて考えられるのです。
たとえば、上司に注意されたとき。
心が乱れていると「自分はもう信用されていない」と感じがちですが、
整っていれば「仕事の改善点を指摘された」と、冷静に受け取ることができます。
こうした違いは、仕事のパフォーマンスや人間関係に直結します。
心理的安定が、最終的には「判断力」というビジネススキルを支えているのです。
② 行動が安定し、習慣が続きやすくなる
気持ちが落ち着いていると、行動にムラが出にくくなります。
「やる気が出たときだけ動く」ではなく、一定のペースを保つことができる。
たとえば、運動・勉強・仕事など、長期的な努力を要する行動では、
一時的な感情に左右されないことが成功のカギです。
心を整えることは、「やる気」よりも強い力を生み出します。
認知行動療法でいう「行動活性化(Behavioral Activation)」も、
感情ではなく“行動から整える”アプローチです。
③ 対人関係の摩擦が減る
心が整っていると、相手の言葉や態度に過敏に反応しなくなります。
「どうしてあんな言い方をされたんだろう」と反芻する時間が減り、
人間関係に余白が生まれます。
また、他人の感情を読み取りすぎず、自分の境界を保てるようになります。
結果として、職場・家庭・友人関係などでのトラブルが減り、
人とのつながりがより穏やかで安定したものになります。
④ 集中力・創造性が高まる
慢性的なストレスは脳の扁桃体を活性化し、
注意力や判断力を司る前頭前野の働きを抑えます。
逆に、心が整うと神経系のバランスが整い、
集中力・記憶力・発想力といった認知機能が高まります。
マインドフルネスや瞑想などの実証研究では、
「脳の灰白質が増える」「前頭前野の活動が向上する」などの結果も示されています。
つまり、心を整えることは脳のコンディションを整えることでもあります。
⑤ 身体への好影響がある
心と身体は密接につながっています。
心が安定すると自律神経のバランスが整い、
結果的に以下のような身体的メリットも得られます。
- 睡眠の質が良くなる
- 血圧や心拍が安定する
- 胃腸の不調が減る
- 疲労回復が早くなる
つまり、「風邪をひきにくくなる」身体の整いと、
「ストレスに動じにくくなる」心の整いは、生理的にも近い現象なのです。
3. どうすれば「心を整える」ことができるのか
では、実際にどのようにして心を整えればよいのでしょうか。
特別な能力や長年の修行は必要ありません。
認知行動療法の理論を日常生活に取り入れるだけでも、
十分に整える力を育てることができます。
🌱 ① 自分の「自動思考」に気づく
まずは、自分の頭に浮かぶ“自動的な考え”に気づくこと。
「どうせうまくいかない」「また嫌われたかも」など、
無意識に浮かぶ考えをキャッチして書き出してみましょう。
その考えを事実と区別し、別の見方を探すことが「整える」第一歩です。
🏃♀️ ② 行動を少し変えてみる
気分が沈んでいるときほど、動かないと余計に落ち込みやすくなります。
「気分が上がったら動く」ではなく、「少し動くことで整える」。
行動を起点に気分を安定させるのが、認知行動療法の特徴です。
たとえば、外に出て5分歩く・人と挨拶を交わす・机を片づける──。
小さな行動でも「動けた」という感覚が、心の整いにつながります。
🌼 ③ “いま・ここ”に注意を戻す
マインドフルネスの基本は、「過去でも未来でもなく、今に戻る」こと。
頭の中で考えすぎているときほど、
呼吸の感覚や足の裏の感触に意識を戻すことで、心が穏やかになります。
これはスピリチュアルな話ではなく、科学的に裏づけられた「神経の調律」です。
4. 「漢方」との共通点 ― “治す”より“整える”
実は、心理支援と漢方には共通点があります。
どちらも「即効性」ではなく、「全体のバランス」を重視している点です。
漢方は身体の“体質”を整えることで、自然治癒力を高めます。
心理支援は、心の“反応パターン”を整えることで、自己調整力を高めます。
つまり、どちらも「症状を消す」のではなく「回復できる力を育てる」。
この考え方が、現代の“セルフケア時代”に求められています。
5. まとめ ― 心を整えるとは「再現性のある平常心」をつくること
身体を整えると、動けるようになる。
心を整えると、動じなくなる。
心の整いとは、感情の波をなくすことではありません。
波が来ても沈まない“しなやかさ”を育てることです。
カウンセリングとは、その“動じない自分”を取り戻すための時間です。
一度整える方法を身につければ、それは一生使える「こころのメンテナンスツール」になります。
広島で「心を整えるカウンセリング」をお探しの方へ
認知行動療法カウンセリングセンター広島店では、
不安・ストレス・対人関係の悩みなどに対して、
「心を整える」ための具体的な方法を一緒に見つけていきます。
📍住所:〒730-0853 広島市中区堺町2丁目4-16 堺町Yビル402号室
🚋アクセス:広島電鉄 小網町駅 徒歩1分、土橋駅 徒歩3分
🕓営業時間:10:00〜20:00(完全予約制)
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