2025年12月12日
- 認知行動療法
広島で会食恐怖へのカウンセリング
こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター広島店です。
「人と食事をする場面が怖い」「会食だけがどうしても避けたい」。
こうした相談は、実はひと言で説明できる状態ではありません。
会食恐怖と呼ばれてはいるものの、
その背景にはいくつか異なる心理メカニズムがあります。
- みられることへの不安(社交不安)
- 吐いてしまうのではないかという恐怖(嘔吐恐怖)
- 食事そのものへの葛藤(摂食障害との関連)
どれが中心となっているかによって、
症状の形も、必要なアプローチもまったく変わってきます。
本記事では、会食恐怖の「タイプの違い」を整理しながら、
認知行動療法(CBT)の視点で改善のポイントをまとめました。
1. 会食恐怖とは
会食恐怖とは、 人前で食事をする場面で強い不安や身体反応が起き、食事がうまく取れなくなる状態です。
特徴としては、
- 会食だけ特別に不安が強い
- 食べ切れない自分を責めやすい
- 身体の反応(吐き気・つかえ)が強く出る
- 会食の前日から緊張が続く
などが挙げられます。
性格や気合いの問題ではなく、
身体反応・思考のパターン・不安を避ける行動の組み合わせによって起きています。
2. 会食恐怖には主に3つのタイプがある
① 見られることが怖いタイプ(社交不安が背景)
「周りからどう見られるか」という評価への不安が中心にあります。
よくある反応
- 食べる量・スピードを見られるのが気になる
- 口元の動きが変に見えるのではと不安になる
- 一口が大きい・小さいなど些細な動作が気になる
CBTのポイント
- 会食場面でどの事実に注意が向いているのか整理する
- 「評価される」という予測の現実性を検討する
- その場しのぎの行動(小さく食べる、話題で隠す)が不安を保つ仕組みを理解する
- 小さな段階の行動練習で慣れをつくる
このタイプでは、周りに意識が向きすぎる状態の調整が改善の鍵になります。
② 吐くことが怖いタイプ(嘔吐恐怖が背景)
「もし食事中に気分が悪くなったら」という体調への警戒が中心です。
よくある反応
- 喉がつまる感覚
- 胃がムッとする
- 会食前から体調を何度も確認する
- 薬や飲み物を常備しないと落ち着かない
CBTのポイント
- 身体反応と不安のつながりを可視化する
- 吐き気=危険という解釈を丁寧に検討する
- 席の選択や事前準備などの安全行動を少しずつ調整する
- 身体感覚への段階的な慣れ(内部感覚への曝露)
身体の違和感を「危険の前兆」と受け止めやすい特徴があり、
その意味づけを調整していくことが重要です。
③ 食行動そのものが不安定なタイプ(摂食関連の背景)
会食恐怖そのものは摂食障害とは異なりますが、
食事量や体型への緊張が強い場合、会食が一気に負担になることがあります。
よくある反応
- 食べる量が多いか少ないかを気にしすぎる
- 「太るかもしれない」という不安が強い
- 食べた後の後悔が長く続く
CBTのポイント
- 体型・食事に関する考え方の偏りを整理する
- 完全主義の傾向が強い場合は柔らかく調整する
- 食事パターンが乱れている場合は安定化を図る
このタイプでは、会食だけでなく日常の食行動を整えるサポートも必要になります。
3. 3タイプに共通する「悪循環」とは
どのタイプにもみられやすいのが、
不安や恐怖を避けようとする行動が、長期的には不安や恐怖を強めてしまうという悪循環です。
例
- 会食を断り続ける
- 食事量を極端に減らす
- 体調を何度も確認する
- 条件づけ(この場所なら食べられる、あの人となら食べられる)
一時的な安心につながるものの、
「やはり会食は危険だ」という確信が強まり、
次の会食がさらに難しくなります。
認知行動療法では、この悪循環を低負荷の範囲で少しずつ緩めていきます。
4. 認知行動療法(CBT)での改善の流れ
① 会食場面で起きている流れを整理する
・状況(事実)
・身体反応
・浮かんだ考え
・そのときの行動
を整理し、何が不安を維持しているか可視化します。
② 不安を支える行動(安全行動)を調整する
すべてを一度に手放すのではなく、
負担の少ない部分から調整していきます。
③ 認知の再検討
「本当にそうだろうか?」
「起きても対処できる範囲だろうか?」
事実に基づいて考えを柔らかく整えます。
④ 段階的な練習
いきなり外食ではなく、
・ひとりで軽食を取る
・信頼できる人と短時間だけ食べる
など小さなステップを積み重ねていきます。
⑤ 再発予防
不安が戻りやすい場面を共有し、事前に備えます。
5. Q&A
Q1. 会食恐怖は治るのでしょうか?
はい。
段階的に不安への向き合い方を整えていくことで、
多くの方が「普通に人と食べられる」状態に回復していきます。
性格や根性の問題ではなく、
仕組みを理解することで改善が進むタイプの困りごとです。
Q2. 無理に会食に行ったほうが慣れますか?
無理をして挑戦すると、
「やはり危険だ」という確信が強くなることがあります。
大切なのは、
いまの自分にちょうど合う難易度の練習を選ぶことです。
これは専門家と一緒に設定すると安全に進みます。
Q3. 吐き気がある場合でも相談できますか?
もちろん可能です。
会食恐怖では身体反応が先に起きることも多く、
その意味づけと対処を丁寧に扱うことで改善が期待できます。
体調不安が強い方こそ、早めの相談が役立ちます。
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