2024年11月10日
- 認知行動療法
自己臭恐怖改善のためのカウンセリング(認知行動療法)
こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター広島店の岡村です。本日は、自己臭恐怖へのアプローチとしての認知行動療法(CBT)について詳しくご紹介します。自己臭恐怖は、多くの方にとって日常生活に大きな影響を及ぼし、他人の目を気にすることに疲れ、社会生活に支障をきたしてしまう恐れがある困りごとです。当センターでは、自己臭恐怖に悩む方が安心して日々を過ごせるようサポートしています。
自己臭恐怖とは
自己臭恐怖(じこしゅうきょうふ)は、自分が悪臭を放っているのではないかと過度に心配し、その結果、周囲の人に迷惑をかけているのではと強い不安や恐怖を感じてしまう状態を指します。たとえば、周囲の人が鼻をすすったり、距離を置くような行動を取ったりすると、「自分が臭うから避けられている」と思い込み、その場にいることがつらくなる方も少なくありません。自己臭恐怖は、対人場面での自信を損ない、自己評価の低下や孤立感、さらには日常生活での活動を避けることへとつながってしまいます。
自己臭恐怖の具体例
- 歯磨きや入浴の強迫的な繰り返し: 自分の臭いが気になり、不安を抑えようと何度も歯を磨いたり、頻繁に入浴したりすることがあります。
- 周囲の反応への過敏さ: 他人が咳払いをしたり、顔をしかめたりする仕草を見ると、「やはり自分が臭うからだ」と解釈してしまいます。
- 生活の質の低下: 自己臭恐怖が進むと、人前に出ることが難しくなり、仕事や交友関係にも支障をきたし、生活の質が低下することもあります。
自己臭恐怖の原因としては、過去の体験や性格的な要因が関与することが多く、例えば「他人にどう思われるか」を過度に気にするタイプの人が陥りやすいとされています。また、周囲からの何気ない言葉や反応に過剰に反応してしまうことも、自己臭恐怖のきっかけとなり得ます。
認知行動療法とは?自己臭恐怖へのアプローチ
認知行動療法(CBT)は、不安や恐怖を感じる原因となる「考え方」や「行動パターン」を見直し、少しずつ変えていくためのアプローチです。自己臭恐怖に対する認知行動療法では、「自分は悪臭を放っているかもしれない」という恐怖をどのように和らげ、生活を取り戻すかに焦点を当てていきます。
CBTのプロセス
- 現状把握と自己臭の認識
まず、自己臭恐怖がどのように日常生活に影響を与えているかを具体的に見ていきます。ここでは、「自分はどこから、どのような臭いがしていると思うか」「その結果、どんな影響を受けているか」といった部分を明確にしていきます。自己臭恐怖に悩む方は、自分の臭いが実際に他人に迷惑をかけているかどうかよりも、「悪臭を放っている」と感じることで社会生活に困難を感じることが多いため、その視点で状況を整理していきます。 - 認知のパターンへのアプローチ
次に、「本当に自分は悪臭を放っているのか?」「他人は自分の臭いをどう感じているのか?」という部分について考えを整理します。多くの場合、自己臭恐怖を抱えている人は、その時に同じような認知パターンをしていることに気づかないことが多いため、カウンセリングではまず「自分の認知のパターン」に気づいていく作業を行います。例えば、他人の反応を悪意として受け取ってしまう認知の傾向を少しずつ見直し、「他人の反応を過度に心配する必要はない」と考えられるようにサポートしていきます。 - 不安や恐怖に対する曝露
CBTの中では「曝露療法」という技法も活用します。自己臭恐怖の場合、特定の状況において不安や恐怖を感じることが多いため、少しずつその状況に慣れるためのトレーニングを行います。たとえば、公共の場で「他人と接する」機会を徐々に増やし、その場面で不安に対する耐性をつけていきます。曝露療法により、不安のレベルが少しずつ減少し、自己臭恐怖からくる行動も減少することが期待されます。 - 対処行動の抑制と自己受容
自己臭恐怖の強い人は、「自分は悪臭を放っている」と感じるたびに、強迫的に歯を磨いたり、体を洗ったりしてしまうことが多いです。これらの対処行動は一時的な安心感を与えるものの、長期的には自己臭へのこだわりを強めてしまう恐れがあります。そこで、カウンセリングでは「すぐに対処行動に移らない」「まずはその場で呼吸を整える」といった対処法を学んでいきます。
認知行動療法の効果と注意点
CBTは、自己臭恐怖に悩む方が自身の考え方を見直し、不安を感じる場面に対処できるようになるために効果的な方法ですが、一回のセッションですぐに結果が出るものではなく、継続的な取り組みが必要です。個人差はありますが、定期的なカウンセリングを通して少しずつ効果が現れることが期待できます。
また、認知行動療法では、無理な強制は行わず、クライエント自身が自分のペースで安心して取り組めるよう配慮しています。初めは不安が強くても、少しずつ生活の中で成功体験を積み重ねることで、徐々に自己臭への囚われが減り周囲の反応に振り回されにくくなります(個人差は当然あります)。。
最後に
認知行動療法カウンセリングセンター広島店では、自己臭恐怖に悩む方に向けた個別カウンセリングを提供しています。オンラインでのカウンセリングも対応していますので、遠方の方やお越し頂くのが難しい方でもご利用いただけます。自己臭恐怖でお悩みの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
認知行動療法カウンセリングセンター広島店
https://hiroshima.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
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