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こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター広島店の岡村です。本日は、当センターで提供している小中学生の不登校支援についてご紹介します。近年、不登校の問題が社会的に注目され、小中学生の不登校児童の数は増加の一途を辿っています。最新のデータによると、不登校の小中学生の数は約34万人にも及び、10年連続で増え続けているという状況です。これは不登校がもはや一部の子どもだけの問題ではなく、社会全体でサポートすべき重要な課題であることを示しています。

当センターでは、不登校を「学校に行かないこと」だけではなく、背景にある複雑な要因を理解し、それぞれの状況に応じた支援を行っています。とくに認知行動療法(CBT)を用い、子どもやその家族が不安や悩みに向き合い、少しでも前向きに日々を過ごせるようサポートを行います。以下では、不登校支援に対する当センターの考え方と、カウンセリングの具体的な流れについて詳しく説明します。

不登校支援に対する当センターの考え方

不登校という状況は、「正解」「不正解」という単純な区分で判断するべきではありません。子どもたちが学校に行けない理由はさまざまで、一人ひとりに異なる背景や理由が存在します。ある子どもは人間関係や学習に対するストレスを感じ、学校に行きたい気持ちがあっても通えない状態にあります。また別の子どもは、無理をして登校を続けた結果、心身のバランスを崩し、不登校になってしまうケースも見られます。

こうした背景から、当センターでは「学校に戻ること」だけを唯一のゴールとせず、個々の子どもたちの現状を尊重し、最善の選択肢を見つけることを大切にしています。学校復帰を目指すケースもあれば、新しい学びの場を提供することが適切な場合もあります。また、子ども自身だけでなく、家族や学校関係者ともしっかり連携をとりながら、支援の方向性を決めていきます。大切なのは、子どもが安心して生活できる環境をつくることを目標にサポートを行うことです。

不登校へのカウンセリング:当センターのアプローチ

当センターの不登校支援カウンセリングでは、以下の3つのステップを重視しています。

1. 状況の把握と関係者の思いの整理

まず、不登校になった子どもやその家族、学校関係者などの状況を深く理解し、整理することから始めます。不登校は、単に「学校に行かない」状態だけでなく、心の負担や不安、学校や家庭との関係も関係しています。そのため、子どもや保護者の抱える悩みや心配、学校との連携の現状を丁寧に伺いながら、包括的なアセスメント(評価)を行います。

このステップでは、必要に応じて医療機関や福祉機関との連携も図ります。不登校の原因が心理的な要因だけでなく、発達特性や健康状態に関連する場合には、医療や福祉の専門機関と協力し、子どもとその家族に対して包括的な支援が提供できる体制を整えています。

2. 目標の設定

次に、現実的な短期的目標と、長期的に目指すべき目標を一緒に設定します。この目標設定は柔軟に行い、状況に応じて見直しや調整が可能です。目標の内容は一人ひとり異なり、例えば「学校復帰」を目指す場合もあれば、「別の学びの場で自分のペースで学ぶ」や「家庭内でリラックスして過ごせること」を目指すこともあります。

家族内の関係性改善が先決の場合や、外部機関での支援が必要な場合もあるため、必要に応じて目標の優先順位を設定し、適切な支援を行います。

3. 具体的なサポート内容の確認と障壁の明確化

目標が決まったら、それを実現するための具体的なサポート計画を立てます。例えば、学校復帰を目指す場合には、まず外出の習慣をつける、短時間でも学校周辺まで行ってみるなど、少しずつ行動範囲を広げる段階的なサポートを行います。目標に向かう過程で現れる「障壁」にも注意し、対策を講じます。

具体的には、玄関を出るときに「お腹が痛い」「行きたくない」と感じる子どもも多くいます。こうした症状は、単なる気持ちの問題ではなく、心身がストレスに反応している場合が多いです。認知行動療法では、こうした反応に対処する方法を共に考え、自分にできることを少しずつ増やしていくサポートを行います。大切なのは「壁」を乗り越えるだけが目的ではなく、時にはその壁を迂回することも選択肢として共有し、無理なく進めることです。

認知行動療法による具体的なアプローチ

当センターでは、認知行動療法(CBT)をベースにした不登校支援を行っています。CBTは、困難な状況にどう向き合うか、どのように反応するかを整理し、新たな考え方や行動を身につけることを目指すアプローチです。例えば、「学校に行くのが怖い」と感じる子どもには、その恐怖の背景にある考え方を一緒に探り、現実的な捉え方ができるようサポートします。

CBTには「エクスポージャー(段階的曝露法)」と呼ばれる手法もあり、これは本人が不安や恐怖を感じる状況に少しずつ向き合い、自信をつけていく方法です。エクスポージャーを活用することで、学校や外出といった「課題」に少しずつ取り組むことで適応力を養い、不安や恐怖感を減らす効果が期待されます。

最後に

当センターのカウンセリングでは、経験豊富なカウンセラーが一人ひとりの立場に寄り添い、その状況に応じた支援を提供します。不登校に関する相談内容だけでなく、日常生活での心配や不安、人間関係の悩みなども幅広く対応しています。カウンセリングを通じ、少しずつ日常のリズムを取り戻し、未来に向けた希望を見出すお手伝いができればと考えています。

不登校の解決を急ぐのではなく、子どもが自分のペースで安心して過ごせるようサポートいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

認知行動療法カウンセリングセンター広島店
https://hiroshima.cbt-mental.co.jp/

——筆者情報——

岡村優希

株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役

認知行動療法カウンセリングセンター代表

公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士

個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。

さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。

◆執筆書籍

「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版

「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房

◆テレビ出演

読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日

「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演

◆雑誌掲載

「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号

◆近年の講演実績

2024年2月21日

広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師

2023年2月9日

NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師

2022年7月6日

筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師

その他、学会発表多数

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